かつては、一般の人たちの登山は近郊のハイキングや夏のアルプス日帰りか小屋泊まり１〜２泊がせいぜい、それ以上のレベルを望むのなら、社会人山岳会にでも入らないとアブナイよ…、と言われていました。

　しかし時代は進み、世の中のニーズは旧来のハードルを少しずつ下げてきました。かつて学生山岳部や社会人山岳会が世襲のようにして伝えてきた、実戦に対応できるレベルの技術を伝えられる講習会なども多く催されるようになりました。ツアー会社が催すツアー登山も、ステップアップ方式などで顧客の技術レベルの底上げに力を入れた内容が増えてきています。いまや山岳会を経験することなく、先鋭的なアルパインクライマーになった人達さえいる時代です。私などが登山を覚えた時代とは、まったく異なったプロセスが常識化してきているのに驚きを覚えます。山は随分と身近になりました。がしかし、山そのものが易しくなったわけではありません。

登山のための用具、技術などは大きく進歩しました。しかし、登山が自然の中で生身の自分で切り開いていくものであることは、昔も今も変わりません。先進的な用具や技術、新しいトレーニング技術など学ぶべきものは多いのです。
それらをひとつひとつ学び、身につけていきましょう。